映画「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」

日本での公開が遅かったので、先に機内映画でも見てしまいました。カタカナでタイトルを書くとなんだかエロ映画みたいになるので、日本公開はどうするのかなと思っていたらそのままでした。変な邦題付けるとかえって陳腐ですかね。

実際に行われたエキシビションマッチを題材にしており、登場人物も実在。エマ・ストーンが「ラ・ラ・ランド」の後、出演した作品です。


 1970年代。まだまだあらゆる待遇において男女差が激しい時代。プロテニスもその例にもれず、女子の優勝賞金は男子の8分の1だった。女子トップ選手のビリー・ジーン・キングは、女子テニスも男子と同等、それ以上の魅力があり、興行成績を上げることができると考え、地位向上を訴えるが、テニス協会幹部のジャック・クレーマーは耳を貸さない。業を煮やしたビリーは、仲間とテニス協会を脱退し、女子だけのテニス団体を発足させる。だが、自分たちでスポンサーを見つけ、チケットを売り、ツアーを実施する彼女たちの行動を快く思わないものも多い。元男子No.1選手のボビー・リッグスもその1人だ。ギャンブル中毒で夫婦仲もうまくいかず、すっかり落ちぶれているボビーは、女子選手と男女対抗試合をすることで話題を集めて、もう一度脚光を浴びたいと考える。


1973年に実際に行われたエキシビションマッチや前後の経緯、登場人物は事実に基づいたもの。さすがにキング夫人がマリリンと恋に落ちるくだりのエピソ-ドや、ボビーの荒れた生活っぷりまで真実なのかはどうかわかりませんが、マリリンやボビーの奥さん、アラン・カミング演じるゲイのデザイナー( テッド・ティンリング)まですべて実在の人物です。彼がデザインしたテニスウェアも忠実に再現。ビリーがはいていた青いアディダスのシューズは特注して再現したそう。でもアドバイザーにキング夫人の名前があるので、この映画の内容を了承してるってことなんですよね。ううむ。

35ミリフィルムで撮影されたという、なんとなく昔っぽい映像、音楽やファッションまで70年代を再現しています。スッピンで肉体改造したとはいえどやはりエマ・ストーンは美人ですが、スティ-ブ・カレルは本物のボビー・ディッグスとかなり似せています。試合が一方的で盛り上がらなかったところも真実だとか。そういえばテニスの試合のカメラアングルがいかにも映画っぽいアップやカット割りではなく、実際のテニス中継のようにコートエンドからの映像で、本物の試合映像かと思ったほど。

どれだけ映画が実際のエピソードを再現したかを比較した動画までありました。

実はビリーの真の敵は、ネットをはさんで戦っているボビーではありません(むしろ、記者会見なんかでは、同じアスリート同志リスペクトを感じる部分もあった)。テッド・ティリングが「世界はすべてを許すわけではない」という通り、この試合の勝利でなにもかもが好転したわけではなかったんですよね。

現在のWTAの生みの親となったキング夫人は、この後も精力的に活動を行い、現在に至ります。全米オープンは1973年に男女同一の賞金になりましたが、ウィンブルドンが男女同一賞金になったのは、2007年。グランドスラム4大会がすべて男女同額になるまで30年かかったことになります。今でも男女同一賞金については様々な意見がありますよね。大会主催者なら「女子決勝のほうがチケットが売れない」とか「女子の試合は満員にならない」とかデータを出して少しでも支出を減らそうと思うのは(良し悪しは別にして)経営者あるあるだと思うんですが、男子選手がクレームをつけるのは、女子の賞金額が上がって男子が減ったわけでもないし(女子が上がらなければもっともらえる算段?)、そこ言う?とちょっと思っちゃいますね。

ちなみに、劇中でエマ・ストーンのボディ・ダブルを務めたのは、ケイトリン・クリスチャンという現役テニス選手。ダブルスでツアーを回っているようですね。インスタに映画での写真をアップしています。ステx-ブ・カレルのほうは、「スタント」として、ヴィンス(ヴィンセント)・スペーディアの名前が。この映画でのテニスシーンのコレオグラファーとしてもクレジットされていました。スペーディアはジャパンオープンにも来たことがある米国の選手。懐かしい。とてもユニークな選手だったし、こういうお仕事をしてても不思議じゃない感じです。

https://usctrojans.com/news/2017/9/26/usc-ripsit-blog-kaitlyn-christian-goes-hollywood.aspx

すでにこの試合のエピソードは2003年にドキュメンタリーが作成されているほか、TVドラマ「コールドケース」でもこの試合を題材にした放送がありました(シーズン3の「スーパースター」です)。

もう1つ。全く関係ない話ですが、キング夫人、コート夫人、など「~夫人」がこの時代の強豪選手だったので、「エースをねらえ」の竜崎麗香のニックネームは「お蝶夫人」だったんだろうと思うのですよ(もう半分はオペラ「蝶々夫人」からかな?)。実際「エースをねらえ」に、キング夫人が登場するんですよね。

バトル・オブ・ザ・セクシーズ Battle of the Sexes (2017・米)

監督:バレリー・ファリス/ ジョナサン・デイトン
出演:エマ:ストーン/ステx-ブ・カレル/ビル・プルマン/サラ・シルヴァーマン/アラン・カミング

デジタル配信で見る
Amazonビデオ iTunes GooglePlay 

BD/DVDで見る
Amazon  楽天ブックス HMV

テニスあれやこれや
miruteniをフォローする
見るテニス

コメント